忘れられないニオイ
今から約20年前に新卒で入った関東の某大学病院での事。
私が配属された循環器内科にVIP患者が入院していた。
サッカー関係の有力者で、見舞いにラモスやトルシエといった有名人が来た時にはテンションが上がったものだ。
その患者は足の血管が狭くなり、血の巡りが悪くなってしまう病気が進行し、足の指先が腐りかけていた。
毎日、消毒と包帯交換が必要なのだが、当然の事ながら痛みを伴うため、その処置には細心の注意を要した。
正直、VIP患者というのはやりにくい。
必要以上に気を遣う。
腐りかけている傷の処置というのは、どうやっても痛いものだが、痛いと怒りだすのだ。
そして何よりニオイがキツイ。
肉の腐る臭いというのは中々に耐え難いニオイを発する。
ニオイが鼻にこびり付いて離れない。
その患者と言えば、そのニオイを思い出すほどだ。
数年前、その患者が本を出版していたのを見つけたため懐かしさから購入してしまった。
それは未だに書斎の本棚に収まっているが、全く読んでいない。
さて、病院というのは独特のニオイがするものだ。
歯医者なんかでも想像出来る方も居るだろう。
そして、高齢者施設にもニオイがある。こちらはほぼ排泄物のニオイだろう。
最近はスメルハラスメントなる言葉も耳にするが、果たして嗅覚というのは人間にとって最古の感覚器と言われるだけあって、かなり敏感なもののようだ。
個人差や好みも様々だし。
無臭が一番だ。
「すごいニオイ」#ジェットウォッシャー「ドルツ」